自由と束縛/ブレイクスルーが起こるには
もし、あなたが科学的創造性を最大化させたいならば、図抜けた頭脳を探し出し、その頭のなかにあるアイデアを追求するのに必要な資源を与え、それからしばらく放っておく、というのが常識の命ずるところだ。大方、たぶん、なにも成果があがらないだろう。だが、一つか二つ、なにかまったく予想されなかった発見があがるということもある。もし、あなたが予期せざるブレイクスルーの可能性をほとんど壊滅させたい[最小化させたい]と望むなら、このおなじ人間たちに、次のようにいえばよい。たがいに競争しながら、きみたちが達成するであろう発見あることを、わたしに説得したまえ。そのための時間をおしむな、さもなくば資金の獲得は望めまい、と。およそこれがいまのシステムである。 デヴィット・グレーバー著、酒井隆史訳『官僚制のユートピア―テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則』、以文社、二〇一七年。一九四頁。 (※福井一喜『無理しない観光』、ミネルヴァ書房、二〇二二年、二一八頁より孫引き)