對馬路人「鉄道と霊場―宗教コーディネーターとしての関西私鉄」


山中弘『宗教とツーリズム-聖なるものの変容と持続』(2012年7月)に載っている論文。

身近なところで、後輩が宗教ツーリズム研究を始めました。
自分も興味がなかったわけではないけれど、長らく買ったままで、なかなか読めなかった本をやっと開いた次第。

掲載されている論文を3本ほど読んだところですが、視座のとてもおもしろい研究分野だと思いました。とくに面白かったのが、對馬路人「鉄道と霊場―宗教コーディネーターとしての関西私鉄」。

関西人にとって身近な、阪神・阪急・京阪・近鉄・南海、さらには阪堺電車に至るまで、実は電鉄の敷設や経営が宗教施設と深く、密接に結びつきながら行われていたことが指摘されています。

これは近隣の人は、各電車の路線や駅名、ロケーションを思い返せば、はたと気がつくのではないでしょうか。

たとえば、阪急電車では、宝塚線には、有名な中山寺・勝尾寺・清荒神などはすぐに思いつくし、京阪も、稲荷大社や八坂神社、宇治線には平等院、京津線には石山寺、三井寺、比叡山、日吉大社。近鉄も、石切、瓢箪山稲荷、等々。
かの阪堺電車は、住吉大社に接続しています。
もちろんも、挙げればもっともっとあります。


この論文では、そもそも鉄道会社の歴史を追えば、その初期段階で、鉄道会社自身が、設立初期の段階で、その主要な乗客としてそれら宗教施設への「参拝客」を想定していたこと、参拝の手段・ルートとして鉄道の敷設を行っていたことも指摘されています。

宗教施設と鉄道会社の結びつきは、その宗教施設の賑わい、人気と鉄道会社の経営、戦略と無関係ではなかったという事実。
また、開設後、鉄道会社が、それら宗教施設の盛り上げやイメージ戦略に積極的に関わっていたこと。


このことは、いろいろなことを考えさせてくれます。

「鉄道」という乗り物は、歴史的にはとても「宗教」と深く結びついていたこと。
鉄道会社の経営戦略が、われわれの宗教に対する観念や、「宗教行事」のイメージにも影響を与えていったということ。

「鉄道」という要素と宗教的なことがらを結びつけて考える視点をもらいました。
電車の路線図を見るときに、また違った角度から見る視点を与えられたような読後感でした。




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