城山三郎『少しだけ、無理をして生きる』(新潮文庫、平成24年)に、城山三郎氏が、小説で、新人賞を受賞したあと、選考委員だった伊藤整氏から忠告としてもらった言葉が紹介されていた。
伊藤整さんも、「新人賞の選考会では、一橋のあなたに何もしてやれなかったけれども、一つだけ忠告をするよ」と言ってくれました。
「あなたはこれから先、プロの作家としてやっていくのだから、いつも自分を少しだけ無理な状態の中に置くようにしなさい」
これも大岡さんの言葉同様、私にとって実にありがたいアドバイスになりました。〈少しだけ無理〉というのがいいのです。ごく自然にアイディアやインスピレーションが湧いたから小説を書く―これは無理していませんね。自然のままの状態です。小説や詩はインスピレーションが湧いてこなければ書けないだろうと思うのですが、夏目漱石の『文学論』を読みますと、作家にとってのインスピレーションというのは人工的インスピレーションだ、とある。つまり、ぼんやり待っていたら何かがパッとひらめいた、じゃなくて、インスピレーションは自分で作り出すものだ。だから、インスピレーションを生み出すようい絶えず努力しなくてはならない。自然な状態で待っていてはダメなんです。負荷をかけるというか、無理をしなくてはいけない。けれども、それが大変な無理だったら続きませんね。作品がダメになってしまう、あるいは体を壊してしまう。(84-85頁)
ほんとに、そのとおりだ。
ここしばらく、ずっと本を読むのもままならない。知的活動において、インスピレーションはおろか、インプットすらちゃんと行えていない。リハビリをしよう。
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