月曜日は午前・午後と出講で、ほぼ一日が終わるスケジュール。
講義後に、龍大瀬田学舎の図書館にって、少々原稿を書くための作業をば。
午前は、「仏教の思想」
今日は親鸞聖人の「誕生」と「出家」
学生さんへの投げかけは「史実」と「伝承」のうち、「史実ではない伝承」の意味をどのように考えるべきなのかという私見を提示した。
午後は、真宗関連の講義。 七祖の第一「龍樹菩薩」について。
おきまりの、龍樹の出家前、「若気の至り」のエピソード(※)を紹介して、話しながらふとおもった。
一緒に「やんちゃ」をやっていた友人が目の前で死んでしまったとき、龍樹の心境はいかばかりだったか。 若い、欲望にまかせて、それが最高の快楽だと思ったことをやっていたときに、突如訪れた友人の死。
このショックは、もしかすると「透明人間になった」とか「後宮でやんちゃした」という特異なシチュエーションでオブラートに包まれているけれど、「人生」において突如として訪れる衝撃という意味では、一般化できる課題だったのではなかっただろうか。
「なぜ生きているのか」、「なぜ彼は死んだのか?」
仏教でしか答えを見いだせない問いが、友人の死によって立ち上がってきたのかもしれない。
龍樹のエピソードが、今昔物語や、芥川龍之介がそれぞれまた取り上げている意味というのも、あらためて考えてみたい・・・と思った次第。
(※) 龍樹菩薩のエピソードとは、
若い頃、龍樹菩薩という人物は、透明人間になる方法を得て、友人二人と一緒に、後宮の女性たちにいたずらをして過ごしていました。女性たちが妊娠し、異変に気づいた城の王族や兵隊は、粉を地面に巻いて、見えない何者かが来ても、居場所がわかるように策を練りました。
その策を知らずにやってきた龍樹と友人たち。足跡から居場所がしられ、兵隊に攻撃されます。
友人二人は命を落とし、龍樹はなんとか逃げ延びることができました。
この出来事によって、龍樹は発心(改心?回心?)して、仏教の学問・修行をはじめ、後世に大きな影響を与える天才仏教者となりました。
鳩摩羅什『龍樹菩薩伝』に見られ、
日本では『今昔物語』に収録され、さらには芥川龍之介が『青年と死』というタイトルで小説にしています。
■龍樹について
ウィキペディア:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BE%8D%E6%A8%B9
■芥川龍之介『青年と死』(青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/142_15207.html
2012年10月1日月曜日
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