2018年8月3日金曜日

(掲載)浄土宗総合研究所編『それぞれのかがやき:LGBTを知る―極楽の蓮と六色の虹』(総研叢書第10集)

 先日刊行された、浄土宗総合研究所編『それぞれのかがやき:LGBTを知る―極楽の蓮と六色の虹』(総研叢書第10集)に、大正大学の林田康順先生、浄土宗総合研究所の工藤量導先生と、私・中平が対談させていただいた「仏教・浄土教とLGBT」が掲載されています。
 この企画は、浄土宗総合研究所さまが、隔年で刊行されている『総研叢書』の企画として、LGBTをテーマにし、仏教徒としての(あるいは僧侶・仏教徒にも当事者がいるはずとの立場にたって)のLGBTの向き合いやアプローチ、仏教、寺院が抱えている課題に取り組まれたものです。企画段階でお声を書けていただき、2016年6月に開催した「テラからはじまるこれからのハナシ。」の取り組み、それから龍谷大学行われている大学としての取り組み、LGBTに関連する諸課題について、至らないながらもお話をさせていただきました。

 テラハ。に参加くださった方の中から、妹尾陽さん、虹色ダイバーシティの橋本竜二さんにもコラムを寄稿いただきました。改めて、テラハでの出来事を思い出すようなこともでありました。ありがとうございました。

 折しも、国会議員による「LGBTには生産性がない」「支援が過剰」云々という発言があり、LGBTに限らず、人の価値や、存在の意味自体に向けられた問いが喚起されているような状況でもあります。ちょうどそのような時期の刊行になったこと、仏教者からのしかも、伝統教団の公式な機関からの発信・メッセージとして大変意味深いものだと感じています。
 
 本誌の中では、LGBTの当事者や抱えている困難、それを踏まえて、葬送・仏事の場面、寺院でどのような対応がなされるべきか、LGBT当事者の僧侶がどのようにすればその修行生活をおくることができるのか、それらについて現実的な課題や、可能性を模索されています。率直にいえば、現実的には「これから対応すべき形、できる形」を模索されているのであって、「すでにこう対応されている」という事象は多くはないように感じています。しかし、それでも僧侶が経験した当事者との邂逅や、課題の共有から、今後あるべき姿を模索しようとする姿勢や、(伝統という看板で変革が容易でない態勢や価値観を)変革を求めようとする姿勢、気概は感じていただけるのではないかと思います。

 ぜひ、関心のある方(特に僧侶の方には、宗派に関わらず)、手にとっていただけたらと願う一冊です。
 浄土真宗の僧侶でありながら、宗派を超えて、浄土宗様のこういった先端的な取り組みにお声を掛けていただき、関わらせていただいたことは、言葉に余る程に大変うれしく光栄なことでした。対談をご一緒させていただいた林田先生、企画運営、さまざまなご準備をいただいた浄土宗総合研究所の工藤量導さん、石田一裕さんには、話し合いや企画の中でさまざまなご教示をいただきました。ご一緒させていただけたこと、大変うれしくおもっています。ありがとうございました。
 特に工藤さんとは、研究分野が共に中国浄土教であったことから、20代の頃から学会の部会や懇親会でご一緒させていただくことがありました。そのような関わりから、今回もまたこういう形でご一緒できたことにあらためて感慨深く感じています。
 
折しも、龍谷大学でも「大学生のためのLGBTQサバイバルブックvol.1 先輩たちのライフストーリーズ」という冊子が刊行されました。
性の多様性、生き方の多様性ということにあらためて関心がむけられ、考え直しがすすんでいます。こちらの冊子もぜひ手にとっていただけたらと思います。


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