『インストール』
綿矢りさの新刊が気になって、いまごろ『インストール』を買って読んでみたわけである。 帰り道の古本屋で、『蹴りたい背中』と併せて購入。二冊で1060円。印税が入らない買い方をしてごめんなさい。 仕事が山のようにある状況にもかかわらず、通勤の電車の中で読んでしまった。 17歳女子高生が、日常の悩みから登校拒否をはじめ、ふとしたことから知り合った同じマンションの小学生とともに、チャットレディのバイトをするという話。 悩みは、深いものというよりも、青春時代特有のなやみといったもの。宗教的な深さや、重たいテーマが潜んでいるといったテンションではない。(教育問題とか、不登校とか、ネット社会の低年齢化とか、云々と言ったことを考え出すと、社会問題といえるかもしれないが、切り込むといったものではなく、あくまでもそれらは、モチーフを浮き上がらせる演出だろう) けれども、文芸作品としてそれなりに評価されたというのは、やはり描写のうまさからなんだろうと思わされる。大学生の自殺を思い出すことによって自分の悩みを相対化して描いたり、母親同士の会話を、学校の会話とフィードバックさせることによりその特徴を浮き彫りにしたり。 平野啓一郎の『本の読み方』を読んだ影響もあるかもしれないが、「小説を読み込む」作業が面白く感じた。付箋を貼り、ゆっくり読み返しつつ、書き込み、メモを取り、読み進めるおもしろさがあった。 しかし、自分も登校拒否をしていた時期があるからかもしれないが、人生に於ける逃避行動の意味ということを考えてみると、なかなか意味深いものがあるかもしれない。若干のモラルハザードも発しつつ、それが結局、自己認識を深め、歩むべき道をすすむモチベーションを再発見することになるのだろう。