『生物と非生物の間』を読んで以来、福岡先生のファンになる。
内容がおもしろいだけではなく、文章がきれい。
なにより、その提示される「生命観」は、科学的でありながら非常に文学的でさえあるように思えること。そして、その文学的にも見える生命観は、仏教の思想にもリンクするようなところが多分にある。
その生命観は、ルドルフ・シェーンハイマーによって見出された「動的平衡」の生命観をベースにされている。その「動的平衡」をもって、現代的な諸問題にアプローチしている。
本書『もう牛を食べても安心か』は、例の狂牛病の問題を扱った一冊。
アメリカ産牛肉の輸入再開、全頭検査の緩和には反対を表明されている。
なんとなく目に付くタイトルだけれども、本書を読んでみるとタイトルがなぜ、「もう牛を食べても安心か」となっているのかを知ることができる。
逆に言えば、「食べられるか」、でも「安全か」でも、著者のいわんとするところとずれが生じるということ。牛肉問題ではなく、食の安全、安心とはなにか?を考える際には読まないといけない一冊。
生物に対する人為的な操作には、批判的なまなざしを持つ先生。
臓器移植の問題についても、「動的平衡」の生命観から、反対の立場。
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