2018年7月20日金曜日
180719失敗百物語 第六回
ピッコロシアターの劇を鑑賞したその夕方、
藤本遼氏・丸川正吾氏の企画「失敗百物語」第六回が西正寺で開催された。
西正寺での失敗百物語は、前回(https://ryogo1977.blogspot.com/2018/05/blog-post_11.html)の開催に引き続いて2回目。
今回は、女性の僧侶と、女性の牧師が「わたしと宗教者のはざま」というテーマで話題提供くださった。
「宗教者」としてき期待される姿と、実際の自分とのギャップ。
あるいは、世間的な「宗教者」のイメージと、「宗教者」としていなければいけない者のジレンマや、期待の対象の裏側におかれて傷ついてしまうようなケース等。
「結婚」「出産」という、人生のプロセスのなかで、「宗教者」としてのあり方と起こる乖離、抱えざるを得ないジレンマ。(家族・子どもがいるがために、自分だけの判断や思いで行動できなくなる等)
参加者の中には、あまり宗教者と接点がなく、生の宗教者の声を聞けてよかったとか、あるいは普段付き合いしている宗教者と違う、「悩み」や「迷い」を抱えながら前に進もうとしている宗教者の姿に触れて、刺激をうけたというような方がいらっしゃったようだ。
個人的にも、そうそう、あるある。と思うことがたくさんあった。
ある意味で、あまり一般には知られていない「宗教者あるある」もいい形で共有された場であったように思う。
(これは打ち上げの席で、まわりの人たちと共有したこともであるが)
宗教者としての悩みや、負わされ、抱え込んでいた責任、制限がある、という実体を参加した人たちに知ってもらうことができ、宗教者としてのあり方に触れてもらえたとは思う。一方で、それらが宗教者特有のものである、という面で語られていて、あまり一般化されなかったがために、「宗教者はやはり特別」という面が強調されてしまっていたかなという反省もあった。
私自身、僧侶として、寺の後継者として育ってきて、「お寺の子だから」「お坊さんだから」という(自他ともにかけてしまっている)バイアスの中で生活してきたというのも事実だ。しかし、一方で、それは「お寺」「お坊さん」だけではなく、さまざまな言葉や立場に置き換えることができるようなものでもある、とも考えている。(あるときから、そのように考えられるようになった)
たとえば、旧家の跡継ぎだからこの土地から離れてはいけない、というような期待を周りから向けられ、自分自身もそれを背負いながら生きていることもあるだろう。
家業があるから、家族が特殊な状況にあるから、守らなければいけないものがあるから、継承しなければいけない技術や伝統があるから。
言葉は違うが、それぞれが「特別」な思いや価値観を背負って、「こうあらねばならない」とか「これをしてはいけない」という条件や、制限に向き合っているのではないだろうか。
今回、「お寺に育ったから」「キリスト教の家庭に育ったから」というその特殊性が、語られていたけれど、それは宗教者に限らなくても、大小はあっても様々な家庭で、それぞれに「特殊性」のようなものが存在していたはずではなかっただろうか。
たしかに、宗教者として「世間一般とちがう」と認識される存在であるが故に、特異点は大きいし、たくさんある存在なのだろうと思う。しかし、その特異点が、単に「お坊さんはちがう」「牧師さんはちがう」という宗教者だからというものでとどまるものではなくて、それが「一般的ではない」と指摘する「普通(一般的)」なるものは、本当に存在するのだろうかというような疑問を抱くこと。普通や常識がある意味で揺るがされる、ということが、実はもう一つ意味あることのように思ったのだがどうだろうか。
そんな話をしながら、
また、「普通」について語りたいねぇ(https://ryogo1977.blogspot.com/2018/04/blog-post_81.html)という振り返りになった夜。
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