小林正弥監修、藤丸智雄編
『本願寺白熱教室』
いまさらながらに、読みました。遅くなりまして、ごめんなさい。
前職の研究所が、法蔵館から出した一冊。
身内を褒める、手前味噌のような感じになるのもアレですが、
それを差し引いても、伝統教団の中ではかなり進んだ議論が公開の場で行われたのではないかと思う。あらためて見直しても刺激的な議論。
僧侶同士であっても、意見の割れる問題が設定される。そこでの意見や判断から、どういう価値がわれわれの中にあるのか、何を優先して行動しようとしているのか、が自覚的になってくる。
頭の中で結論を出すのではなくて、現実の具体的な問題のなかに身を置く。その場で身を引き裂かれるような判断が迫られる中で、「えいっ」と決断をする。そんな中でしか、社会的な実践なんてできようのないのだろう。そんな中でしかちゃんと社会的に意味ある行動なんてできないのだろう。そんな風に思うのだが、どうだろうか。
現実の社会の中で向き合おうとするならば、かならず突き当たる「ジレンマ」をちゃんと正面から見据えていること。
「本願寺」という宗教教団(団体・お寺)の名称を冠しながらも、「宗教」と「宗教教団」が抱える「長所」と「短所」(問題)を忌憚なく、遠慮なく書いている。
けっして「布教」(ましてや一般が思われる「洗脳」とか)目的の内容ではなく、ちゃんと「宗教」とはなにか、「公共」とはなにか、「公共の場で宗教がある、ということにどんな意味があるのか、ということについて考えられる内容になっている。
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