龍谷大学大学院実践真宗学研究科で担当している講義「宗教実践特殊研究」。
(なかなか、いかつい名前である)
昨年企画・実施した研究科主催のシンポジウムを受ける形で、「ソーシャルインクルージョンと宗教」と題して、宗教者による社会課題に対する実践をテーマにしている。
自身が宗教者(僧侶)でもある若い大学院生のみなさんが、それぞれ関心をもった「社会課題」について調べて発表してもらい、その発表とその後のディスカッションを通して、宗教、あるいは宗教者が関われる可能性―そのフィールドの設定や、具体的な方法―について、考えを及ぼしていくことができたらと、目論んでいる。
これまでは、それぞれの自己紹介を通して、身の回りにある課題や、関心を掘り下げる作業、それから、現在の社会の動きとして(講義のテーマでもある)「ソーシャル・インクルージョン」という考え方、宗教と社会の関係性―「世俗主義」とその捉え直しという―変遷について、レクチャーを行った。
それを踏まえて、今回から、大学院生による発表という回。
一番目の院生さんが選択してきたテーマが、自身がある業界でアルバイトしていることもあって、「悪質クレーマー問題」。
問題の詳細については、ググったり、以下のリンクをみていただけたらと思う。
■労働組合UAゼンセンによる悪質クレームの定義と対策の文書■
正直、宗教者のフィールドに結びつくのだろうかと、不安がなかった訳ではない。
しかし、受講している院生の積極的な発言や、視点の提示によって、予想以上の視野の広がりと、興味深いディスカッションの展開になった。
悪質クレームという問題を、社会的な病理という面からアプローチする視点、
社会心理や、文化的な背景もあるのではないかという、外国での状況と比較した意見。
また、宗教者のフィールドとしては、「企業チャプレン」というアプローチについても言及があった。
(そして、企業チャプレンの話題については、本日、以下の記事があることが、臨床宗教師会のMLでも配信されて、なんとタイムリーなことかと驚く。
※「クリスチャントゥディ」
「米国で雇用広がる企業チャプレン 充実しない日本の「心のケア」
http://www.christiantoday.co.jp/articles/1358/20070910/news.htm
基本的に発表は、「宗教者」としての視点、フィールドまでに考察は及んでいない、純然たる「社会課題」についてのレポートであった。しかし、それを場に出すことで、それまでの(宗教者・僧侶である)自分たちと異なる視点や、アプローチに接することになるという経験は、それはそれで、刺激をもたらしたように思えた。
知られるところ、得られるところあるだろうと思いつつ、
それと同等のチャレンジを含んだ講義の設定であったけれど、実際に発表とディスカッションを一回行ったころ、予想以上に手応えもあった回にもなった。
(このことについては、講義内で受講生とも共有している)
今後は、「障害・障害者」について、「多文化共生」について、等、
楽しみな発表もあるのようなので、期待している次第。
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