2019年2月16日土曜日

190215Mさんと将棋を指した日

2月15日(金)
脳性マヒで電動車いすにのっているMさんと将棋をする約束をしていた。

Mさんとは、ミーツ・ザ・福祉(http://meetsthefukushi.strikingly.com/)というイベントの実行委員・コアメンバーとして一緒に活動するなかで知り合った。

若い女性のメンバーが、Mさんと将棋をしたという話をしてくれて、僕もやりたいと声をあげた。日程調整のやりとりのなか、Mさんが「お寺でやりたい」といい、じゃあということで今日になった。(やりとりは、ヘルパーのKさんが間にはいって、メッセンジャーでした)

数日前から、楽しみでしかたなかった。
先日あった別のイベント「おふろバー」にも将棋盤をもっていっていた。

午前のお参りの仕事を終え、事務仕事をして、約束の時間の数十分前になって、お迎えの準備をし始めた。やりはじめると、せっかくやるのだからと凝りはじめてしまった。
「対局室の雰囲気を作ろう」と座敷の机を移動させ…。盤はどこにおいて、座布団はどう並べるべきかと思案して、できあがったのが、上の写真のような感じ。
 ここまでするのだからと、衣と袴もはいて、MさんとKさんの到着を待つ。

Mさんが「お寺でしたい」といってくれた。そして、わざわざここまで足を運んでくれるというのは、決して簡単なことじゃない。ヘルパーのKさんの力を借りなければいけない。ほかの予定などの都合もつけないといけない。移動の時間も、僕が1人でいくのとはわけがちがう。
 ぼくにとっても、ちょっと特別な対局だった。(そもそも、「将棋をしよう」と対局だけの約束をすることなど、滅多にないことでもあった)

15:00約束の時間にMさん到着。
ひととおりの挨拶をしたあと、対局開始。

3局指した。



一局目の終局図。 中盤、飛車道の攻防で推され気味になったが、角交換からの打ち込みで、局面が大きく展開して、押し込み勝利。















二局目の終局図。
五分五分の展開から、終盤Mさんの見落としがあり、一気に1筋。を押し込んで、勝利。















三局目の終局図。

駒損を重ね、さらには王を自由に逃がしてしまう。一方駒損から、分厚い攻撃は防ぎきれずに、粘りも空しく終局・敗戦。

ということで、3番指して、2勝1敗。
1局目、2局目が20分程度だったのに対して、3局目はもつれて1時間以上の熱戦になった。
対局中、大笑いしたり、戦術の思いがくちからこぼれてでるなど、あっというまの楽しい時間だった。


終わった後、Mさんから思いがけない提案が。
なんでも、Mさんの作業所のみんなと、ここでなにかできないか?というご相談だった。

今日、Mさんが「お寺で将棋をしてくる」といってくると、作業所のみんなは、「お寺ってなに?」「いけるところなのか?」という反応だったそうだ。「お寺」という場所がどんなところかしらない。そもそも行っていいところかということもわからない。自分だけではなく、ぜひ、みんなもお寺にきてもらいたい、ということだった。
 Mさんはそういう人だ。ミーツ・ザ・福祉のミーティングをしても、その場にこれないほかの障がいを抱えた人のことを思いめぐらしていた。今日も、お寺で将棋をした自分だけではなく、そのときに聞いた作業所の仲間の声や、思いを、なにか形にできないかと、声を上げてくれた。
 
 お寺を知らない、Mさんの作業所の「みんな」にお寺に来てもらうことを想像するだけで、新しいなにかが起こりそうな気がして、それは前向きに考えられることだし、実現できればとおもう。ただ、それ以上に、Mさんのその思いに応えたい。

 将棋の後、Mさん、Kさんと企画の形をすこし話し合った。
 こんなことできるんじゃないか、ああしたらいいんじゃないか。

 ただ、将棋を楽しく指しただけだけれど、それだけで終わらない、それだけじゃない、何かがあった日だった。Mさん、また指しましょう。

 将棋対局はまだまだ続きます。




  
  

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