古書の相場が暴落している。(20年くらい前と比べて)
宗教学会(@上智大学)を最終日の午前の部までで後にして、帰り道、神田神保町の古書街に足を運んだ。
思い返せば、20代の院生の頃は、東京にくると、必ずと言っていいほど足を運んでいた。安く本が買えるかもしれない、貴重な研究書や資料が、売りに出ているかもしれないと。
今は、ネットで古書を検索し、居間にいながらにして入手することができるし、なんならPDFで入手できるものもある。
しかし、今回は自分の研究リハビリ期間と言いつのっている時期でもあるので、若かりし思いをとり戻すべく、足を運んだ。
もちろん、楽しい時間だった。
古地図で、尼崎に関するもの、江戸期の摂津に関するものなどを店主の許可をもらって広げたりしていると、あっという間に時間が過ぎていた。
専門(仏教・真宗)関連の書店にも足を運んだ。刺激もたくさんあったが、古書店に積み上げられた、近年のものはもちろん、大正や昭和初期、あるいは明治からの仏教研究や、人文学関連の研究書の量と、あらためてまったく未知、想像をおよぼしたことのない書名の数々に学問の見えない底の深さにあらためて愕然とさせられもした。
この年になって、あらためて自分には扱う能力のない資料や、影印の資料の数々を見て、言うまでもないが、研究から離れてしまっていたブランクと無力感を痛感する。
さて、それで表題の件だけれど、古書の相場が暴落している。
今日見たもので、
・野上俊静『中国浄土三祖伝』8800円
・望月信亨『中国浄土教理史』5500円
であった。(他にも、驚く値段になっているものはたくさんあったが)
おそらく、一般の方は、「何が安いねん」と思われるかもしれないが、2000年代、私が修士課程になったばかりのころは、古書でこれらを買おうとすると、5万円以上、お店によると10万を超える値段がついていたように記憶している。
先日も、梅田の古書店で、
・牧田諦亮『疑経研究』が6000円だったので、即買いしてしまった。
店主さんも、レジで、「これ、昔、もっと高かったですよね?… 間違いかもしれないので、確認していいですか?」としばらく待たされるようなことだった。(そして、値段は間違っていなかった)
研究状況の変化かもしれない、研究人口の変化かもしれない、あるいは、物理的な書物ではなく、取り込んでデータにしてしまったりすると、物理的な本の需要が変動してきた結果ということなのかもしれない。
原因ははっきりわからないけれど、とにかく、以前、非常に高価で手が出なかった古書たちのお値段が下落、いや過去の状況と比べれば、「暴落」している。
買う側にとっては、大変ありがたい状況になっている。
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