2010年3月23日火曜日

青木新門『納棺夫日記 増補改訂版』





青木新門『納棺夫日記』 (文春文庫)
ずっと以前から興味を持っていたけれど、なかなか手に取れなかった本。
読みたいなぁと思っていて、のびのびになっていたところ、「おくりびと」が大ヒット。
それとともに、タネ本だったこの本が、注目を浴びてしまった。「ブームにのって買うのもなぁ」と延期。

それが、ふとしたことから、ネットでブックオフを見ていた所、割と安値で発見。
それならばと購入。

読んでみた感想。

もちろん、印象深い感銘ぶかいエピソードもあるが、全体を通して、物語としては、なにかまとまっていない印象を受ける。
まとまっていないというか、完結していないという印象といったほうがいいかもしれない。

しかし、読んでみて思ったことは、この本が読まれ、評価されたのは、「ストーリー」ではなくて、
著者が真摯にこの「死」に関わる納棺夫という仕事と向き合い、
人の死に、あるいはその「死」に伴う別れを経験する人生に、向き合って見出されたものがここに示されているからだろうと思う。

前のこのブログの抜書きにも書いたように、「葬送」に関わる仕事をしている者―僧侶、葬儀関係の業者―には、
身につまされる指摘もある。
「葬儀」に関わるものにとっては、やはり必読の書といってよい本だろうと思う。
そして、「死」に関わる人たち―それはすなわちすべての人―に読まれてよい本だと思う。




0 件のコメント:

コメントを投稿

「宗教」・「カルト」を扱う講義をするので

今日の龍谷大学文学部で担当している「伝道学特殊講義」(学部3・4回生対象)は、講義で指定しているテキスト 『基礎ゼミ宗教学(第2版)』 。今回は、第9章の「カルト問題」にどう向き合うか?―カルト、偽装勧誘、マインド・コントロール」を扱う予定。  数年前に大阪大学が、大学としてのカ...