青木新門『納棺夫日記』 (文春文庫)
ずっと以前から興味を持っていたけれど、なかなか手に取れなかった本。
読みたいなぁと思っていて、のびのびになっていたところ、「おくりびと」が大ヒット。
それとともに、タネ本だったこの本が、注目を浴びてしまった。「ブームにのって買うのもなぁ」と延期。
それが、ふとしたことから、ネットでブックオフを見ていた所、割と安値で発見。
それならばと購入。
読んでみた感想。
もちろん、印象深い感銘ぶかいエピソードもあるが、全体を通して、物語としては、なにかまとまっていない印象を受ける。
まとまっていないというか、完結していないという印象といったほうがいいかもしれない。
しかし、読んでみて思ったことは、この本が読まれ、評価されたのは、「ストーリー」ではなくて、
著者が真摯にこの「死」に関わる納棺夫という仕事と向き合い、
人の死に、あるいはその「死」に伴う別れを経験する人生に、向き合って見出されたものがここに示されているからだろうと思う。
前のこのブログの抜書きにも書いたように、「葬送」に関わる仕事をしている者―僧侶、葬儀関係の業者―には、
身につまされる指摘もある。
「葬儀」に関わるものにとっては、やはり必読の書といってよい本だろうと思う。
そして、「死」に関わる人たち―それはすなわちすべての人―に読まれてよい本だと思う。
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