◎「無理なく、後悔なく…」1%くらいでどうだろうか
「その1」では、お布施は定額ではないのだ、ご寄付なのだということを書いたが、実際にどれほどしたらいいのか?という問いには、ちゃんと答えられていない思いが残っている。
質問いただいた時にも、いつもはぐらかしてしまったような感覚が残っているのも実際だ。
感覚的なところで「無理なく、(出しすぎたとか、逆に少なすぎたとか)後悔が残らないくらい」みたいなことを言ったりする。実際それが適当なあたりなんだろうと思っている。しかし、この回答は具体性に欠ける回答であるというのも事実だ。
ということで、すこし、具体的な数字に踏み込んでみたいと思う。 今まで、口頭でこんな言い方をしたことはないのだが、正直にいうと、代替「1%」という率を基準に考えてもいいのではないかと思っている。
◎10%の寄付は高額
収入の1割を寄付するという、話もしばしば聞こえるが、1割というのは結構な額になる。 1割寄付をする、それを継続するというのは、相当な覚悟や決意が必要なものだろうと思う。 それはかなりの「寄付」熟練者のレベルといっていいのではないかと思う。
(10%を超える寄付を求める宗教団体は危ないという話も聞いたことがあるような記憶がある。ただ、今回ネットで検索しても、その裏付けを見つけることができなかった。どこで見たのだろうか? 気のせいだったか。しかし、感覚的にはわかる気がする)
◎1%はおそらく適当な水準
1%という数字は、経団連などが提唱して始まったといわれる、1%クラブのことを知って、ヒントを得たものだ。でも、無理なく、後悔もなく、考えてみると実際の水準とも合致しているような気がしている。
例えば、お寺のお参りに合わせると、月参りということであれば、毎月のことなので月収の1%が基準になる。
月収20万円ならば、2千円、30万円ならば3千円、50万あれば5千円、100万円あれば1万円ということになる。月収が15万円ならば、1500円だ。
月参りで1万円というのは、ほとんどないがおそらく、月収が100万円であるというのと稀有さは同レベルではないかとおもっている。(勝手な感覚である)
◎ 人に伝える場合には、ぼかす。
人に伝えることを考えると、1%と断定的な数字より、「だいたい1%、範囲として1~2%前後が適当ではないか」とあいまいにしておくのがいいようにも思っている。なぜならば、断定的にすると、逆算して寄付者・寄進者の収入が類推されてしまうからだ。(上述のように、この話を直接誰かに話したことはないのだが)
2%になれば、上述の倍ということになるが、「ちょっと多めに寄付しよう」と思ったときに、それでも無理のない範囲におさまっていくのではないかと思う。
◎ もうちょっと具体的にしてみる
上に、月参りで例を出したが、法事や葬儀はもうちょっと高額になるじゃないかというご意見もあるように思う。その場合についても、1%で考えられるように思っている。
例えば、法事は、年に一度くらいのことということで考えれば、年収の1%で考えもらうことができるのではないだろうか。(おそらく、実際にその範囲がお布施の相場感としても近いものになっていると思う。 それくらいの幅の中で、現状お布施をいただいているように思う)
葬儀は、ちょっと算出が難しい。現状、葬儀屋さんから「これくらいですよ」と言われた額をお布施としてお渡しくださっているように思うのだが、「定額」になると、同じ金額がやはりご家庭(あるいは人)によっては、「高額すぎる」感じられることもあれば、「適当な額」であったり、「少ないのではないか」と思われたりするようである。
これとても年収の10%(つまり10年分の収入の1%ということになるが)は、かなり高額なるので、それを上限に葬儀費用の1割程度とか、故人の残された財産の1%とか、そういったところあたりが基準になるような気もしている。
(※ 例えば、相続にかかる税理士さんの報酬の相場は「遺産総額の0.5~1.5%」とのこと)
逆に言えば、それ以上の額になるというのは、私の感覚からすれば、「高額すぎる」という印象でもある。
◎ 出しすぎもよくない
上の議論、お布施・寄付をしたくない、あるいは否定的な方には、「金に汚い」と思われてしまうかもしれない。しかし、上のような相場感を今提示してみたい気持ちは、実は「出しすぎじゃないか、チェックしてみてほしい」という気持ちの方が大きい。
そして、私が、実際に寄付する側に回った時に、自分に無理のないところを考えたとき、やはり、複数の寄付先に1回あたり、月収の1%前後~2%程度の範囲内で寄付をさせてもらうことが多いし、それをベースに考えるようにしている。
ネットで、「お布施の相場」的に、固有の金額があるように書かれているのを見てみると、やや「割高」な金額が設定されていることが多いような印象がある。お預かりする側からしても、年金を主な収入とされている方から、50万円、60万円の月収の方と同様の額を負担感を感じながらお布施してくださる姿をみるのは、申し訳ない思いになるのだ。
今はネットの情報がさも真実かのように流布しているし、僕自身それを大いに参考にして生きている。でも、お寺の事や、お寺にまつわるお布施のことについては、ごく一部のケースがさも全体がそうであるかのように流布してしまっているケースもあるように感じている。
お寺はもっと庶民的な、無理のないところで、気軽に相談や交流が可能なものであることを知ってもらえたらありがたいと思っている。